大手でも騙される
地面師ってのは、他人の土地を自分のものだと偽って売り飛ばす詐欺師だ。2017年、積水ハウスが55億円もだまし取られた事件があってな。東京都品川区の土地を、偽の所有者から買ってしまったんだよ。
55億円ニャ?それはヤバいな…。積水ハウスみたいな大手でもやられるのか?
ああ、2013年にもアパグループが東京都港区の土地を約12億円で買おうとして、偽造書類でやられたことがある。結局、土地は手に入らなかったんだがな。
劇場型詐欺の仕組み
でも、どうやってそんなに簡単にだませるんだニャ?
これがまた、演技を使った劇場型詐欺なんだ。詐欺師たちはチームを組んで、なりすまし役、弁護士、司法書士、手配師、教育係、印刷屋なんて役割を分担するんだよ。
まるでネトフリの「地面師たち」だな。書類も偽造するんだろ?
そう。積水ハウスの事件では、偽造したパスポートを使って、赤外線ペンライトで照射しても偽物だと見抜けないくらい精巧なものだったらしい。大手企業ですら引っかかるんだ。
丸紅を舞台にした詐欺事件
他にもそんな事件があったのか?
丸紅を舞台にした詐欺事件もあるぞ。2007年から2008年にかけて、リーマン・ブラザーズが架空の病院再生事業に出資して、371億円をだまし取られた。しかも、元丸紅の課長や元白バイ警官まで加担してたんだ。
警官までもが詐欺師に!?しかも、371億円って…規模が違いすぎるニャ。
ああ。しかも、この事件では、詐欺師たちは丸紅の部長になりすました男を、応接室に連れて行って取引を進めるんだ。その場では、偽造した丸紅の稟議書まで使って、本物そっくりに見せかけた。
ポンジスキームと詐欺の連鎖
どうやってそんな大金を回してたんだ?
「ポンジスキームという手法で、新しい出資者から集めた金を古い出資者への元利金に回すんだ。まるで自転車みたいに、資金が回り続けている限り騙せる。でも、その自転車が止まると、一気に犯行がバレる。
まさにギリギリの綱渡りって感じニャ。
その通り。主犯の斎藤栄功って男は、15年の実刑判決を受けたんだが、詐欺は紙一重の差で成り立つことが多い。リーマン・ブラザーズがだまされた一方、ゴールドマン・サックスは巧妙に逃げ切った。
わずかな差が運命を分ける
ゴールドマンはどうやって逃げ切ったんだ?
「詐欺師たちは、もう一度ゴールドマンから出資を仰ごうとしたんだが、ゴールドマンは契約時に丸紅のCIOが同席するよう条件を付けてきた。これで詐欺師たちはなりすまし役を手配できず、ゴールドマンは無事だったんだ。
ほんの少しの違いで、被害を免れたってわけニャ。紙一重の差って怖いな。
近くに潜む詐欺の危険
実は、積水ハウスも他の不動産会社に話を持って行ったけど、近隣住民に写真を見せて確認したり、面談中にちょっとした会話を交わした会社は、取引を回避できたんだ。
なるほど、ちょっとした確認が命運を分けたニャ。
自分も狙われるかもしれない
今の詐欺は、SNSやメールで身近に潜んでいる。振り込め詐欺の口座として使われたり、犯罪の片棒を担がされることもある。自分は大丈夫だと思うのは危険なんだよ。
ふーん、でも俺は平気だニャ。昔から『猫に小判』って言うだろ?ま、何が来ても気にしないさ!
参考:他人事ではない劇場型詐欺 「地面師たち」にご用心 人生100年こわくない・投資力を磨こう(岩崎日出俊) – 日本経済新聞 (nikkei.com)
コメント